去年の日記帳

1年前の日記を投稿しています ◆ 時々雑記

7月30日 ブレーメンの音楽隊 ノートに日記を再開した日 

2022年7月30日土曜日のこと

(※ この文は2023年に書いています)日記はそれまでずっと日記帳にボールペンでつけていたが、2022年の6月から7月のあいだは落ち着いて日記帳を開く時間がないように感じ、時々スマホにメモする程度になっていた。

この日、お風呂から上がり髪を乾かしていると、ふと廊下の隅に積まれた家電たちを「ブレーメンの音楽隊」みたいだと思った。動物たちが一つの大きな影になっている場面の。下から電子レンジ、トースター、炊飯器。夫が以前の家で使っていたものと、ここにもともとあったもので2つになってしまうものは、どちらかを選んで捨てる必要があった。私たちはここ1か月ほど、その作業を一つ一つやってきて大方は終わったが、捨てるのに手間のかかるこれらの家電は、ここに積んだままになっているのだった。

私は突然、この光景を記録しておきたくなった。大抵の場合、私は文字で書きとめておくが、この場合は絵に描くのがいちばんいい気がした。絵を描きたい、と思うのは久し振りだった。私は美大に入ったくせに文字ばかり書いていて、それを妹は不思議がっていたが、私にとってはそんなに違いはないのだ。忘れたくないもの、消えてしまうことが怖いものを、記録しておきたいのだ。他の動機……「この世のいいものを、描く(書く)ことで少しでも自分のものにしたい」という気持ち、「実在してほしいのにしていないものを、自分で作ってしまいたい」という気持ちもあるにはあるが、十代の後半以降からは「忘れてしまう物事を、無かったことのようにしてしまいたくない」という気持ちが常にあって、このエネルギーは衰えることなく今まで続いている。そのためには絵を描くより文字を書くほうが、私にとって都合がよかったというだけで、動機はずっと同じだった。今回は珍しく絵の方がよさそうなので、簡単にでいいから、下手でいいから、絵に描こうと思った。それで買ったまま使われていなかった無印の文庫本ノートとボールペンを手に取って、夫がお風呂から上がる前に急いで描いた。もし「何してるの?」と聞かれたらうまく答えられなそうで、描きたいという気持ちに自信がなくなってしまいそうで。

ブレーメンの音楽隊はうろ覚えだが、年老いて飼い主に用済みとされてしまったロバや犬や鶏たちの話だったはずだ。ここにある3つの家電たちは全部私がこの家で使っていたもので、夫の電子レンジやトースターや炊飯器と比べた時に性能もしくは新しさで劣ると判断されたのだった。私は昔からものを捨てるのが苦手で、でもあまりに古びたものや壊れかけのものばかり使っているわけにもいかないので、捨てる前にそれを簡単に絵に描いたり、文字で残したりしていた時期があった。(その時も無印の文庫本ノートを使っていたので、今回も自然にこのノートに手が伸びたのか)そうすれば、途端に捨てても大丈夫だと思えるのだった。

衝動にまかせて描きなぐったその1ページ目が、私にノートに日記を書く習慣を再開させることになった。

 

これをこの日の日記(絵日記)とした