去年の日記帳

1年前の日記を投稿しています ◆ 時々雑記

4月2日 オオゼキが光る 10年ぶりのとんかつ

2022年4月2日土曜日 後編(この日の前編はこちら「満開の桜 ユーカリの倒木がある公園」

 

日も沈みかけた頃、少しだけ、私が初めて一人暮らしをした家を見に行った。坂の上にあったスイミングスクール。今もあった。くだって、坂の途中にある一軒家風のアパートに、私は住んでいた。たしか、「だんだん」という名前だったお店は別の名前のお店になっていた。お米屋さんも、質屋さんもまだあった。

坂の下の、オオゼキも。(まだあった)夕暮れの薄闇に黄色い明かりが漏れていて賑わっていた。町が光り始める時間だった。オオゼキの前の桜並木がきれいで、(桜の背が低くてトンネルのようにきれいに整って咲いている。ぽつぽつと街灯が灯っている)そうだ、きれいだったな、と思ってふとMさんやZさんたち*1に会いたくなった。懐かしさで酔っ払ったようになった。この町で暮らしオオゼキで買い物した日々。自転車をこいだ日々……。

 

お腹がすいてきたので、目黒に戻る。自転車で何十回?……何百回も往復した道を歩く。歯を食いしばって、自転車をこぐ自分の幽霊が見えそうだった。懐かしいものもあれば、見慣れないお店ができていたりもする。商店街のぼんぼりが光っている。

ピカソ」というディスカウントストアの奥に「とんかつとんき」は今もあった。10年ぶりくらい。とても混んでいたが、並んでロースかつ定食を食べた。ここは厨房がステージで、お客さんはそれを取り囲む観客のようである。小気味よく、とんかつの衣をつけ、揚げるところ、盛りつけるところなどを見ているのは面白いので、狼を連れてきたかった。狼もきっと好きだと思って。10年前と違ってパーテーションがある。みんなマスクをつけている。10年前と同じ衣が厚めの少し変わったとんかつ。お米もお漬物もちゃんと美味しい、と思ったのも同じ。

お腹いっぱい食べた後、母にもらったタリーズのカードでコーヒーを飲んでから帰ることにする。

アトレのタリーズの窓から、数年前に私が短編を持って行った出版社の方へ向かう道が見えて、それでなんとなく、また新しいお話を書きたいのだということを狼に打ち明けた。

*1:正社員を辞めた後、この町の洋食屋さんでアルバイトしていた。そこで一緒に働き、お世話になった主婦の方たち